俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

スマホ決済をするおじさん

北京に来て2週間が経った。福島原発の処理水の問題で日中関係が最悪の中でもなんとなく生活が整ってきた。その理由は僕がスマホ決済ができるおじさんだからだ。

実は僕が初めてのスマホ決済”Paypay”を始めたのはたかだか2か月前(2023年7月)。妻が先に始めていて「すごい便利だよ!」と子供のようにはしゃいでいたのが羨ましかったのと、中国では現金・カードをほとんど使わずスマホ決済ができないと生活が成り立たないと聞いていたからだ。

そして今、北京に来て心底思う。「ああ、日本でスマホ決済始めていて良かったな…」と。

僕は今年50歳になるおじさんで、スマホ決済とは程遠い人生を歩んでいた。持ってるスマホおサイフケータイ対応ではないのでスマホ払いはできないと思い込んでいたし、「お金の減り具合がわからないと使いすぎるんじゃないか」「”スキミング”みたいなことをされて、知らない間に誰かにお金を抜き取られるんじゃないか?」「やはり現金が一番安心!」という思いが強かった。

だが妻は「プリペイドで少しずつお金を入れておけば使いすぎることはないし、被害も最小限!」と気にも留めない。で、買い物も外食もスマホ決済で済まし「早い!便利!」とはしゃぎまくっていた。さらに話を聞くと僕のスマホでもそれができるという。

で試しに僕もPaypayをインストールして、2000円くらいチャージして、妻に使い方を教えてもらい、コンビニで使ってみたのである。するとまあ、これがもう、本当に便利なのである。

若い人からしたら「今さら?」「スマホ決済くらいで何をはしゃいでるの?」と思うかもしれないが、僕の実家がある田舎町はジジババばかりでスマホ決済なんてできる人は少数派なのである。近所のドラッグストアは夏休みの間、バイトの女子高生なんかがレジを担当するのだが、このお嬢さんに「Paypayで!」とかっこよく宣言する時の高揚感といったらない。後ろに並ぶ近所のおば様方の羨望の眼差しを背中に浴び、レジのお姉ちゃんの「おじさま、ステキ・・・」といううっとりとした視線をビシバシ感じざるをえない。

また近くのスーパーや100均なんかでもスマホ決済はできるし、セルフレジなんかもあるのだがわが田舎は利用できる人がほとんどいないのである。人がいるレジには爺さん婆さんが長蛇の列を作り、セルフレジにはほとんど人がいない。そこにスイスイと進み、バーコードを読ませ、スマホで支払い追い抜く時の優越感!恍惚感!ハイソ感といったら!!僕はこの田舎町で一番イケてる若者(50歳)なのだ!と天にも昇る気持ちになるのだ。


そんで今、中国なのだが、こちらは買い物はもちろん、通勤の地下鉄もスマホ決済(改札でQRコードを読み込ませる)だし、シェア自転車なんかもスマホ払い。特にスーパーやコンビの会計で後ろにたくさん人が並んでいる時はスムーズにスマホからアプリを立ち上げ、QRコードを表示させる(かQRコードを読み込む)必要がある。まだまだ不慣れなところはあるが、ここ数日でスムーズに会計が済ませられるようになった。

 毎朝、僕はオフィスに出勤する前にビル1階にあるセブンイレブンでペットボトルのお茶を買う。ウーロン茶、プーアール茶、緑茶、菊花茶などがあり、それぞれに梅、パイナップル、ジャスミン、くちなしといった風味が付いているものもある。500ml弱で大体5.5元~6元(110円~120円)なので安いといっていいだろう。で、意外だったのだがここでも店員がいるレジには行列ができ、セルフのレジはほとんど利用されていないのだ。客層は若いビジネスマンやOLばかりなのに。

 こんな時僕は「みんなバカだなぁ。セルフレジでスマホ決済をすればいいのに。若いのにまだ使い方を知らないのかな?よし、おじさんが見本を見せてやろう(笑)」なんて思いながら一人で会計を済ませる。

https://cn.chinadaily.com.cn/a/202307/18/WS64b64217a3109d7585e45668.html

たまに「确认(確認ボタン)」を押し忘れて店員が無表情で操作を助けに来ることがあるけど、今はスムーズにできるようになった。

ちなみに僕はコロナ禍がはじまる前もたまたまオンライン会議システム(Zoom)の使い方を習っていたおかげでコロナ禍も戸惑うことなく在宅勤務やZoom会議に対応できた、なんということがあった。

新しい技術を毛嫌いしないでなんとなくでも覚えておくと、同世代(おじさん世代)の中でちょっと自慢が出来るのだ。だからもうしばらく老いゆく自分に足掻いてみようかな。