なんとなく見てしまうTBSの『消えた天才』
有名スポーツ選手が少年時代に勝てなかった早熟な天才たちの現在を紹介する番組だが、結構面白くてつい見てしまう。
子どもの頃、どの学校にも一人や二人はいた”天才”
めちゃくちゃ足が速くて市民大会でぶっちぎりで優勝しちゃうやつとか
県大会で優勝して名門高校に入っちゃうやつとか・・・
でも実際にプロになったり、オリンピックに出たりするような人はごく一握り。
そんな人たちが意外な挫折をしていたり、別の道で成功したりしていたりするのを見るのがなんとも楽しい。
2019年4月7日の放送では新大関・貴景勝が少年時代に勝てなかった天才空手少年や、平昌五輪金メダリストの小平奈緒が憧れた天才スケーター、リオ五輪金メダリストの登坂絵莉が勝てなかった天才レスリング少女などが取り上げられた。
が、特にすごかったのが、当時PL学園のキャプテンを務めていた平石洋介氏だ。
実はこの平石さん、来年から東北楽天ゴールデンイーグルスの一軍監督になる人なのだ。
松坂世代で一番の出世!
その経歴がスゴイ
PL時代はケガで満足に試合が出られず、チームは甲子園に2回出場するも平石さんは補欠だった。
おそらく人並外れた努力と、チームを気遣う思いやりがあったのだと思う。
しかも三塁コーチャーボックスから相手バッテリーの癖を見つけ、チームメイトに伝えていたというのだから、観察眼・分析力があり、研究熱心であったのかもしれない。
その後、大学や社会人チームでも日本代表チームのメンバーになったり、ベストナインに選ばれたりしたのだから、野球のセンスも間違いなくあったはずだが、それだけではなかったんだろうと僕は思っている。
一軍での成績は6年間で37安打だから、松坂世代の他の選手に比べれば華々しい成績とは言えまい。
最後は戦力外通告をされ、転職を余儀なくされる・・・はずだった。
しかし平石は球団からコーチとして残るように打診されるのである。
2011年に育成のコーチ
2012年、2軍外野守備走塁コーチ
2014年、一軍打撃兼走塁コーチ
2015年、二軍監督
2018年、一軍ヘッドコーチ兼打撃コーチ → シーズン途中からは監督代行
そして今年、ついに一軍の監督に就任した。
楽天ゴールデンイーグルスの生え抜きとしては監督第一号
38歳というのも球団史上もっとも若い監督だ
しかし、なぜ平石洋介氏だったのか、だ。
2019年の他の球団を見渡しても
巨人は原監督、広島は緒方監督、DeNAはラミレス監督、中日は与田監督、阪神は矢野監督
みんな選手として華々しい成績を残してきたスターばっかり。
特にプロ野球ファンじゃない僕でも名前くらいは聞いたことがある人たちばかりだ。
その中で平石監督は楽天ファン以外は誰も知らない(と思う)
もしかしたら原監督あたりも「平石?えっと・・・だれだ?知らないな~」と思っているかもしれない。
だって平石監督は現役時代6年で37安打。
一軍に定着すらしていない人だったのだから、当然だ。
しかし引退後すぐに球団から声がかかるということは、相当な”人間力”を持っていたからに違いない。
周りの選手からの信頼
ひたすら練習に打ち込む姿が周りに与える好影響
後輩やチームメイトへの気遣い
生活態度
謙虚な姿勢
ファンへの対応、マスコミへの対応
言動、行動力・・・
さらには高校時代からあった相手チームの選手を研究する観察眼、分析力
コミュニケーション能力、コーチングスキル
平石監督は名選手ではなかったかもしれないが、コーチ・監督としてものすごい素質を持っているのかもしれない。
これまでも一軍で選手としての実績を積んでいない平石コーチの言うことを、野球のエリートコースを歩んできた選手たちや、年上のベテラン選手たちが素直に聞いていたのだから、その人望は相当なものなのだろう。
それにしても・・・コーチ時代の実績もあるのだろうが、”監督”となるとチームの顔なのだから、スター選手やスター監督を置きたくなるのが経営者の本音だ。
だが楽天の選手・コーチ・運営スタッフの中では「平石ならみんな納得するだろう、みんなついてくるだろう」という認識があったにちがいない。
これって、本当にすごいことだと思う。
と、同時に、これだけの信頼を集める平石監督の人間力って、どんなもんなんだろうと俄然興味が湧いてきた。
僕は楽天ファンどころか、野球ファンでもないのである。
でも平石監督に、今興味津々。
テレビで密着取材をするか、有名なインタビュアーに根掘り葉掘り聞いてもらうのでもいいが、
できれば昔から平石監督を知っている友人、チームメイト、コーチらに「平石洋介の人間力」を聞き出してもらいたいな。
んで楽天の選手が平石監督を信頼して優勝でもしたら、すごいことになるな。
”平石監督本”の出版が相次ぐな。
平石監督が天下を取れた要因とは何か。
ああ・・・知りたい!