K-1MAXを見ていていつも思う「物足りなさ」
それはルーキーズが終わったのにいまだに出ている佐藤隆太ではなく
表情もコメントも乏しい佐々木希でもなく、
それは、ある意味テレビのスポーツ中継ではなくてはならないもの
つまり、”解説”である。
K-1のテレビ中継には、まともな解説者が存在していないのだ。
逆に、まともでない解説者は常駐している。
自分の好きな選手への肩入れがすごく、
解説というより心の叫び
どちらが優勢なのかも、どちらがダメージを受けているかも皆目見当がつかず
とりあえず自分が好きな選手を応援し、
自分が望むような試合展開になるように話をしてみる永遠の素人
ちゃんとした解説ができる、格闘経験者がいないのである。
「国民的スポーツ」と呼ばれるものの中では、当然、立派な選手が育ち、
立派な指導者が育ち、そして立派な解説者が育つ。
柔道なら山口香がいる。
それぞれの世界には「選手としては超一流とまではいかなかったが、解説させたら超一流」という人がいる。
彼女らは滑舌がよく、声が通る上、解説が的確で、取材に基づいたおもしろエピソードなども披露できる。
また、注目の選手の長所と短所を冷静に分析し、また相手選手のいいところもきちんと認める精神的な平衡感覚がある。






しかし、K-1に関していえば、むしろ逆
自分の独断と偏見、好みと趣向のよる解説がまかりとおってしまう。
おそらく、格闘中継には「そのほうが視聴者の興奮を掻き立てる」という考えがあるのかもしれないが、
興奮するのは実況だけでよく、隣りには冷静に戦況を判断できる人が必要である。
つまり、K-1だけが「ゴールデンで数字のとれるコンテンツ」という思い上がりの中、あまりにも未熟な中継を続けている状態なのである。
まあ、K-1はまだ歴史が浅いので、「元選手」というもの自体が数が少ない。
しかも「名解説者」は、元選手の中でも、さらに冷静な判断と、正確な実況、聞きやすい発声ができる才能が必要なのである。
仮に魔裟斗や武蔵が引退したとしても、名解説者になれるかと言えばそうではない。
魔裟斗は「自分が一番」という考えが常にあるので、リング上の選手をつい見下して見てしまうが
解説の基本は”選手へのリスペクト”である。
総合では須藤元気がかなりいいセン行ってて、名解説者の素養が高い。
K-1も以前はボクシング元世界チャンピョンの畑山あたりを「パンチテクニック専門」という感じで解説者として招いていたが、いつのまにかいなくなってしまった。
「ボクシングとキックは違う」と思ったか、「谷川には愛想がつきた」と思ったかわからないが、残念だった。
K-1はちゃんとした解説者を作らないと、競技としてダメになる。
元選手で、ちゃんと技術を説明できて、選手の気持ちを代弁できる人
試合の流れや、ダメージの蓄積などを冷静に判断でき、
選手をリスペクトし、褒めるところは褒め、苦言を呈するところではきっちり私見を述べられる
そんな解説者が必要である。
僕が今、一番可能性が高いと思っているのが
佐藤嘉洋である。
佐藤ファンには申し訳ないが、僕は彼に選手としての成功より
早く解説席に座り、不動の名解説者になってくれることを望んでいる。
佐藤よ!こっちの水は甘いぞ・・・・
