(あらすじ:36歳にして初めて彼女ができた起夫は、女性との付き合い方をまるで知らない彼氏童貞。よって経験豊富?な韓国人彼女ジュンを教官と仰ぎ、立派な彼氏になるためのイロハを教わっている。)
ジュン「今日の彼氏研修は『パンツを買いに行く』です」
起夫「だれの?」
ジュン「あたしの」
起夫「だれが?」
ジュン「一緒に」
起夫「だれと?」
ジュン「だ・か・ら!あなたとあたしとでよ!!」
起夫「はあ?」
ジュン「『はあ?』じゃねーよ!バカにしてんのか!」
起夫「す、すいません。ちょっと、びっくりしたもので」
ジュン「彼氏だったら彼女の下着選びくらい付き合うものよ!」
起夫「そうなんですか?」
ジュン「あんた、あたしのベージュの下着見て『おばさんみたい』っていつも言ってたじゃない!」
起夫「ええ、まあ。だってベージュなんてね・・・」
ジュン「あんたはAVばっかり見てるから女性の現状を知らないのよ。服の上から下着の柄なんかが見えないようにするために、ベージュの下着は基本よ、基本。」
起夫「え?基本は白じゃないんですか?」
ジュン「それは男の勝手な理想ね」
起夫「う~む。そうだったのか。」
ジュン「で、幸か不幸か、先日あたしは外に干してあった数少ないガラモノの下着を盗まれちゃったのよ」
起夫「いや、オレじゃないっすよ!」
ジュン「疑ってないわよ。で、いい機会だから、あなたに選ばせてあげるわ」
起夫「え?マジっすか?うれしいっす!もう僕が買うっす」
ジュン「本当?ありがと。でもTバックはダメよ」
起夫「え?」
ジュン「スケスケもダメ」
起夫「なんで?」
ジュン「もちろんTフロントもダメ」
起夫「ぎゃふん!」
ジュン「穴あきタイプなんてもってのほか!」
起夫「オーマイガッ!」
ジュン「あんたが選びそうなのは先に釘を打っておくわ。ちゃんとかわいいのを選ぶように」
起夫「・・・・あの、究極の省エネ下着”ステラ”は・・・」
ジュン「絶対だめだめだめぇぇぇ!」
起夫「グスン(泣)」
(とある下着屋)
ジュン「あ、ここなんて良さそう。入ってみましょう」
起夫「お、押忍・・・。ちょ、僕、緊張して来ました」
ジュン「これなんてかわいいな~」
起夫「あの、こんな、女性の下着売り場に入るのは初めてなもんで・・・」
ジュン「あ、これもいいな~」
起夫「あの、僕は商品をよく見ていいものやら、なんとなくボーっとしていたらいいものやら・・・」
ジュン「これどうかな?ね、起夫君?聞いてるの?」
起夫「へ?あ、はい。あの、はい。いいと思います」
ジュン「ちゃんと見てるの?ねえ、あなたはどんなのがいいの?」
起夫「えっと、えっとですね。そうですね、えっと、どれがいいかな?」
ジュン「・・・」
起夫「えっと、えっと、こ、これなんてどうですか?」
ジュン「・・・・・・値札見た?」
起夫「え?値札?えっと、えっと、ぎゃ!!何これ?!無理っす無理っす!!」
ジュン「ちゃんとよく見て選びなさいよ」
起夫「えっと、えっとですね、ここら辺の価格帯で・・・あ、これなんて清純そうで・・・」
ジュン「なんなのその基準?でもこれサイズ合わないな・・・他のないかな?」
起夫「え?ちなみに教官のサイズって・・・」
ジュン「すみませ~ん。これ、他のサイズないですか?」
起夫「ねえ、教官って、何センチっすか?何カップっすか?」
店員「いらっしゃいませ。どのサイズをお探しですか?」
ジュン「・・・・○カップを・・・」
起夫「え?よく聞えませんでしたけど?」
店員「あ~、これは他のサイズないんですよ」
ジュン「そうですか。起夫君、他の選んで」
起夫「かしこまりました。で、サイズのほうはおいくつがよろしいですか?」
ジュン「・・・・サイズは自分で探すから早く選べよ・・・」
起夫「お、押忍・・・。あの、じゃ、このフリルのついたピンクのやつを・・・」
ジュン「ほ~。なかなかかわいいじゃない。」
店員「あの、よろしければご試着になれますが?」
ジュン「あ、そうですか。お願いします」
店員「試着室はあちらになります。」
ジュン「はい」
起夫「あ、教官。僕はどうすれば?あの?教官?・・・・行っちゃった・・・。しょうがない。とりあえず商品を見てようっと・・・ん?なんか、視線を感じるな・・・・。なんか、店の前を通る人がこっち見て笑ってるような・・・。」
起夫「あれ?もしかして、僕って女性の下着売り場で物色をする気持ち悪いおっさんに見えてないか?」
「あの~、違いますよ。あの、僕はただの付き添いで・・・彼女が今、試着中で・・・。って言ってもムダか。くそ。早く帰ってこないかな・・・」
(徐々に試着室に近づく起夫)
起夫「(小さい声で)あ、あの!教官!」
ジュン「何よ」
起夫「あの・・・ちょっと居づらいんですけど・・・僕もそっち入っていいですか?」
ジュン「いいわけないでしょ!」
起夫「いやあの、彼氏として”彼女のいる試着室に首を突っ込んでチェック”ってのもやってみたいんですけど・・・」
ジュン「・・・そんなことはしなくてもよろしい。店に居づらかったら店の前で待ってなさい」
起夫「ちぇっ!お金を出すのは僕なのに・・・」
(しぶしぶ店の外に出る起夫)
起夫「まだかなまだかな~。でもこうやってチラチラと下着売り場を覗くってのも怪しまれるよな~。世の中の”彼氏”ってこういう時どうしてるのかな?どうどうと店の中にいるのかな?それとも近くのカフェでコーヒーでも飲んで待ってるのかな?でもそれじゃ”一緒に下着を買いに来た感”が薄れるよな・・・」
(5分後)
ジュン「お~い。もういいよ~」
起夫「あ、はいはい。」
店員「下着3点。ただ今、全商品20%引きになっておりますので、締めて6000円になります。」
起夫「あ、割と安くついたような・・・」
ジュン「でしょ?はい、ありがと」
起夫「あの、ところでこれを着た姿というのは今日見られるんでしょうか?」
ジュン「ふふふふ」
起夫「ふふふふ?」
ジュン「ふふふふ」
起夫「うふふふふ?」
ジュン「今は生理中だから、しばらくは・・・お・あ・ず・け!」
起夫「あ、あべし!」