昔々、ヨーロッパのとある町に、とても仲の良い夫婦がいました。
二人はとても貧しかったのですが、愛し合っていたので苦にもなりませんでした。
ある年の12月24日。
二人はお互いに渡すクリスマスプレゼントについて考えていました。
素敵なプレゼントをあげたいけれど、いかんせん、お金がない。
そこで、妻は自分の美しい髪を売り、そのお金で夫が祖父の代から受け継いだという金の懐中時計のチェーンを買いました。
そしてクリスマス、二人はお互いのプレゼントを見て驚きました。
夫は自分の大切な時計を売って、妻の女性の美しい髪をとかすための櫛を買っていたのです。
しかし、二人はお互いを思う気持ちに感動し、それからも幸せに暮らしましたとさ・・・
女「いい話ね・・・」
男「そうだな。二人の愛が皮肉な結果を生んでしまったが、せつなくて笑えてくる・・・」
女「ところで、あなたはそのイベントの準備はした?」
男「ん?そのイベント?」
女「クリスマスよ」
男「クリスマス?ああ、そうか」
女「まさか、何も考えてんんじゃないでしょうね。付き合って初めてのクリスマスよ」
男「そ、そうね。でも俺、こういうの苦手でさ」
女「そこをがんばるのが男でしょう?」
男「でも、君の気に入らないものを買っても迷惑だろうからさ、何かほしいものない?」
女「ほしいもの・・・」
男「なんかリスエスト出してくれたらその中から選べる・・・・かも」
女「かも?なんか頼りないわね。」
男「何かないの?」
女「う~ん・・・・そうねぇ・・・・・」
男「・・・・・」
女「う~ん・・・・えっとねぇ~・・・・」
男「・・・・・」
女「やっぱりあなたが決めて。そのほうが嬉しいもの」
男「そんなこと言ったって・・・・じゃあ・・・消しゴムでいい?」
女「なんで消しゴム?(怒)」
男「な、なんか・・・便利かな~って・・・」
女「いらない」
男「じゃあ、違うゴムは?」
女「違うゴム?」
男「あの・・・・夜に使うやつ」
女「・・・・・あっちの?」
男「・・・・・うん、あっちの。」
女「いらね!」
男「え?そうなの?じゃあ、生?」
女「あれはプレゼントじゃない!」
男「でも、中身付きだよ!」
女「うるさい!」
男「う~ん・・・じゃあ、シャーペンは?」
女「ふざけんな!」
男「消しゴム付きだよ!」
女「いいかげん、そこから離れろ!」
男「だって思い浮かばないんだもん。何かほしいものないの?」
女「しいていうなら鞄、ネックレス、服」
男「・・・・・・・聞かなきゃよかった・・・・」
女「買ってくれる?」
男「・・・のストラップでいい?」
女「ならいらない」
男「なんだよ!俺がいることが最高のクリスマスプレゼントじゃねーか!」
女「そうね。でも『恋人はサンタクロース』って歌、知ってっか?」
男「ああ、知ってるさ!俺がサンタクロースだよ!」
女「サンタさん、プレゼントは?」
男「プ、プレゼント?」
女「そう、プレゼント」
男「だ、だから!なんでそんなものにこだわるんだよ!もし、”プレゼントありだけどSEXなし”と、”プレゼントなしだけどSEXあり”だったら、どっちを選ぶんだよ!」
女「・・・・プレゼントあり」
男「な!な!女っていつもそうだ!結局、金とか物が目的なんだよ。」
女「そんなことないわよ。誰だってその選択肢ならそっちを選ぶでしょうよ」
男「俺はSEXありを選ぶね!プレゼントよりもね、愛を確かめ合う方が大事だね、俺は」
女「それはあんたがスケベなだけでしょう。あんた身につける物にお金かけないし。」
男「だ、だから、おかしいよ!愛よりもお金を選ぶなんてさ!」
女「そんなこと誰も言ってないでしょう?彼氏が自分のためにプレゼントを選んでくれたら愛を感じるじゃん」
男「そ、そんなことはね、あの、あれだ、あるかもしれないけどね、でも、でも、もっとね、気持ちをね」
女「何言ってるかわからないわよ」
男「つまりね、その、なんだ、おまえはお金がなかったら愛も冷めるのかよ!」
女「だからそんなこと言ってないでしょう?」
男「いや、言ってると同じだね。だってね、お金がないとプレゼント買えないでしょう?でもおまえはプレゼントがないと愛を感じないんでしょう?」
女「だからそんなこと・・・」
男「いや、言ってるね。彼氏がプレゼントを選んでくれたら愛を感じるってことは、彼氏がプレゼントを選んでくれなかったら愛を感じないってことだ。ということは、プレゼントを買う金がない彼氏にも愛を感じないって事じゃないか!」
女「・・・・・」
男「え!どうなんだ!なんとか言ってみろ!このエロ親父!」
女「・・・・・」
男「このスケベ!エロ!大根チンポ!」
女「・・・・・・あたしが用意したプレゼント、手編みのセーターなんだけど・・・」
男「え?そうなの?」
女「作るのに2ヶ月かかったんだけど・・・」
男「へっ?そんなに?」
女「生まれて初めて編み物にチャレンジしたんですけど・・・」
男「・・・・・・」
女「あんたのために頑張ったんですけどぉ!!」
男「・・・・・・ごめんなさい」
女「・・・・・で?」
男「・・・・・はい」
女「・・・・・なに?」
男「はい、・・・・・時計を売ってでも用意します」
女「ん。」
男「・・・・あの・・・メリークリスマス・・・」