ある日、半年ぶりくらいに友人と会って、昼飯を食べることになった。
水曜午後3時のタリーズコーヒーは近所の専門学校生やサラリーマン、買い物帰りの主婦などでにぎわっていた。
僕らはできるだけ静かなところで話したかったのであるが、奥の座席はどこも人で埋まっていたため、しかたなくレジに一番近いテーブルに座ることにした。
で、気づいたのである。
カフェでクッキーを買っている奴が意外に多いことを。

僕はあまりカフェに入ることはない。
今年はマクドナルドでさえアイスコーヒーが130円する。
もう貧乏サラリーマンがアイスコーヒーを飲みたかったら100円自販機でも見つけて、マイナーブランドの缶コーヒーを買うしかない時代なのである。
が、ごく希に付き合いでスタバやドトールなどにも入るのだが、その度に思っていたことがある。
あの、レジの周りのクッキーとかって、どういうヤツが買うのだろう??と。
もちろん、コーヒーに洋菓子があることくらい僕だって知っている。
が、僕の中ではクッキーなんて金を出して買うものではないのである。
僕のイメージの中ではクッキーとは、紙と白い段ボール地の細長い箱に入ったチープなやつなのである。
何枚も入っていて、口がパサパサになる、微妙な食べ物。
なんとなくおばあちゃんが孫のために無理矢理演出した洋風のおやつ、という感じなのだ。
しかも、カフェのレジ側に置いてあるクッキーは一つ一つ袋に入っていて、一袋130円~180円くらいするのである。
クッキーごときに!
カフェの食い物は総じて高い。
ただでさえ高いカフェのコーヒーに一袋130円のクッキーを頼むヤツなんて、マリーアントワネットくらいだと僕はずっと信じきっていたのである。

が、さっきからレジをチラチラ見ていると、そのクッキーがバカみたいに売れるのだ。
みな、無料のミルクとガムシロップをとるかのように、コーヒーを注文すると躊躇せずにクッキーの袋をトレイに載せたりするのである。
中には、OLらしき手ぶらで首から社員証をかけたおぜうさんが、つかつかとレジに近づき、レジのところのクッキーだけを買って帰ったりもするのだ!
コンビニ行けや!!
なにおやつ感覚でカフェのクッキー買っとんねん!!
130円あるなら、コンビニにでも行ってポッキーやらポテトチップでも腹も膨れるのに・・・
世の若者はおじさんが決して手を出さないカフェのクッキーなんぞに平気で手を付けるのである。
なんなんでしょう?
そんなに旨いものなのだろうか?
そんなに何度も食べたくなるものなのだろうか?
結局僕は友達との話も全く耳に入らず
ひたすらレジ前の客を監視することに時間を費やしてしまった。
だれでもいい!
だからあのクッキーを僕に差し入れしてくれまいか?
僕は自分では決して買うことはないだろうから・・・
