先日なんとなくYoutubeを見ていたら『カリスマ とんねるず世代の芸能人達』
という動画がおススメされ、それを見ていたら思わずうれしくなってしまった。
特に東野幸治さん、今田耕司さん、博多大吉さん、ココリコ、ナインティナイン、極楽とんぼ、ロンドンブーツ1号2号、タカアンドトシ、ブラックマヨネーズ、チュートリアル、インパルス、笑い飯、千鳥、銀シャリといった吉本の売れっ子芸人さんたちがこぞって「子供のころからとんねるずを見ていた。」と語り、本人を前に緊張している様子が非常に微笑ましかった。
おそらく関西吉本の芸人さんにとってはダウンタウンなどの関西出身の先輩はまだ劇場や収録、出待ち等で会える存在、一方東京の売れっ子とんねるずは完全に「テレビの中の存在」だったのかもしれない。
それにしても、本当に憧れていた人を目の前にすると、人はああなるんだよね。
それまで大物芸能人や先輩芸人にもたくさんあったであろう人たちが初めてとんねるずを目の前にしたとき、目をキラキラさせたり、心臓をバクバクいわせたりしながら興奮している姿を見るのが実に新鮮だった。
僕はとんねるずとは年齢が一回り下で、3つ上の兄貴の影響もあってか青春時代のほとんどをとんねるずに染められた世代だ。
もうあの頃の男子は取り立てて「とんねるずのファン」と公言しなくても常にとんねるずがあった。小学校から帰れば『夕やけニャンニャン』を見ていたし部屋に入れば兄貴がとんねるずのLPをかけていた。本棚には『天狗のホルマリン漬け』や『おいにい』、『おいにい2~ん』があったし『とんねるずのオールナイトニッポン』を聞きながら受験勉強をしていた。水曜夜は『生でダラダラいかせて』、木曜夜は『みなさんのおかげです』、土曜日は『ねるとん紅鯨団』・・・僕の小中高は本当にとんねるずとともにあったといってもいい。
そして”とんねるずに憧れていた”のではあるが、別に芸人になりたいわけではなかった。そもそもとんねるずはダウンタウンのような”漫才のカリスマ”というわけではないし、コントはしていたが志村さんや内村さんのように”コント愛”や”コント哲学”があるわけではなかった(ように思う)。
それでは何がとんねるずを突き動かしていたのか。
それは思春期の男の子が持つ妄想
「目立ちたい」
「ビッグになりたい」
「有名になりたい」
「人気者になりたい」
「大金持ちになりたい」
「モテたい」
それをずっと続けてきたのがとんねるずなんだと思う。
今なら小学生が「Youtuberになって有名になりたい!」「毎日遊びながら動画を作ってお金持ちになりたい」と無邪気に語るように、80年代の中学生は
「将来はテレビとか映画とかにでるスターになって、ファンとかにキャーキャー言われる存在になりたい。武道館でコンサートとかもやって年末は『紅白』かな?アイドルとかアーティストが俺と共演したいって言ってくるようになって、ゆくゆくはハリウッドに進出。ある程度稼いだらきれいな女優さんと結婚して芸能事務所でも作るかな?」
なんてバカな夢を描いていた。
でもそれをすべて実現させていたのがとんねるずだ。
だから男の子はとんねるずに熱狂し、憧れたのだ。「俺もああなりたい!」って。
そういえば、とんねるずはスターであり、カリスマであったが、不思議と親近感が湧く存在でもあったな。まるで近所の兄ちゃんみたいな存在だった。
僕が小学生2年生の頃、中学生くらいの兄ちゃん達が自転車でどこでも遊びに行ったり、自分のお金でお菓子を買ったり、落ちてるエロ本を囲んで読んでたりするのをうらやましく思っていた。
自分はまだ小さくて、兄ちゃん達についていきたくても親に「あんたはまだ駄目!」って止められてたな。
そんで「いいな、俺にもかまってくれないかな?」「俺も大きくなったら仲間に入りたいな」「俺も大きくなったら仲間とあんな風に遊びたいな」なんて思っていた。
それはまさに当時の男の子がとんねるずに向ける視線そのものだった。
だからとんねるずに対してはスターやカリスマを見るというより、”知ってる兄ちゃん達がどんどんすごくなっていく”のを見ている感じだった。
「すげえ!とんねるずがベストテンに出るってよ!紅白出るってよ!」
「今度ドラマやるんだって!映画も!?ぜってー見んべ!」
「さすがとんねるず!『かくし芸』めちゃめちゃ目立ってんよ!」
とんねるずが芸能界のど真ん中を肩で風切って歩いている後ろを「どけどけ!兄貴たちがお通りだ!」「俺たちとんねるずだぞ!ウェーイ!」とゾロゾロついている感覚。
そしてかろうじてとんねるずを知らない奴を見つけては、とんねるずのネタをパクって披露していい気になっていた。楽しかったな。(まだバブルもはじけてなかったし…)
そんな青春を過ごしたからこそ、今20代、30代の人が「とんねるずが好き!」って言ってくれるのが嬉しいし、「実は俺、とんねるず世代です!」「ずっとテレビで見てたんです!」という声を聴くのが嬉しい。
気づくと『カリスマ とんねるず世代の芸能人達』(https://www.youtube.com/watch?v=y13mrkJ587Q&t=596s)という動画に”イイね”を押していた僕であった。