俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ナイフとフォーク

ある日、サイゼリアで”若鶏のディアボラ風”とライスを食べていてふと思った。この、ナイフとフォークを何度も持ち帰る食べ方は果たして正しいのだろうか?左手にフォーク、右手にナイフを持って肉を切る。左手のフォークに刺した肉を口に運ぶ。ここまではいい。問題はその後だ。ライスを食べようとフォークを右手に持ち替えるのだが、これ、面倒じゃない?ライスのたびにフォークを右手に持ち帰るの、面倒じゃない?

若鶏のディアボラ風』サイゼリヤでチキンステーキを実食(進撃のグルメ) - エキスパート - Yahoo!ニュース

僕は昭和のおじさんなので、実は小さいころ、ライスはフォークの背に載せて食べていた。大学に入るころまでは普通にそれで食べていた。もちろん左手のフォークを持ち変えることなく、左手のフォークの背に載せたご飯を左手で食べていた。そういうものだと思っていた。

しかし大学生になったころ「ライスをフォークの背に載せるのは手の器用な日本人だけ」「西洋にそのようなマナーはない」という話を聞き、急にフォークの背にライスを載せるのが恥ずかしくなった。そんで昭和のおじさん、おばさんたちはこぞってその文化を変えてしまったのだけれど、「左手に持ったフォークでそのままライスを掬う(すくう)」のは無理があったようで、律儀に右手に持ち替えてライスを掬うようになった。確かに普段右手で箸を持つ人にとっては、こちらのほうがしっくりくる。

でもステーキやハンバーグを食べている間、たえずフォークを持ち替えているのはなんかスマートじゃない気がするのだ。なんで食事中にこんな面倒な作業を繰り返さなければならないのだろう?

調べてみると、そもそも平皿に持ったライスを食べるのが日本の洋食文化で、西洋ではあまり見ないとのこと。またイギリスの人は左手に持ったフォークの背に野菜やポテト、豆などを載せるが、その他の国ではフォークの腹側に載せることが多いようだ。左手のままフォークの腹に載せる人もいれば、右手に持ち変える人もいる。でも右利きの日本人が左手に持ったフォークでライスを食べるのはちょっと無理があるような気がするけど。

ライスとフォークM (youtube.com)

で、思い出したんだけど東南アジアなんかだと平皿にライスとおかずを盛って出すことがあって、それをいつもスプーンとフォークで食べていて、これがなんとも具合がいいのだ。右手にスプーンを持ち、スプーンの”ふち”で肉や魚を切る。いわばナイフ代わりだ。で、ライスを食べる時は右手のスプーンの上に左手のフォークで飯を載せて食べるので持ち変えが一切不要。実に理にかなっている。

https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/04/post-10322.html

きっとハンバーグやらステーキやらは、ナイフやフォークを持ち変えなくて済むように同じ皿か鉄板に添えたポテトを主食(炭水化物)にして食べるのが正解のような気がする。

それをどうしても「米の飯で食いたい!」と平皿に盛り、無理やりナイフとフォークで食べる日本人がちょっと田舎臭いし、「パンで食いたい!」と途中で唐突にナイフとフォークを置き、パンを手づかみで食べ、手についたパン粉を払ってまたナイフとフォークを持ち直す西洋人がいたらそいつもなかなか不合理で野蛮だ。

東南アジア式のフォークとスプーンが一番スマート