職場で昼飯を食いながら、ぼんやりテレビを見ていた。
するとなにやら奇妙なおっちゃんの特集が組まれていた。
そして弁当を食い終え、渋茶をすすっている頃に僕は思った。
「こういうおっちゃん、ボク好きだ」
人間そっくりのロボットを作っているおっちゃんだ。
いかにもオタク系研究者っぽい髪型
眉間に寄った皺
メガネの奥の厳しい眼光
しゃべってみると意外にフランクだが、やってることが変人
始めは普通にロボットを作っていたが次第にエスカレート
ロボットは見かけも大事。
ロボットらしいロボットよりも
人間っぽいものを作ったほうがみんなの反応がすごいとの理由で
娘のロボットを製作
実際に自分の娘から型をとって作ったらしいが
正直、気持ち悪い
そして完成したロボットを娘に見せたところ
強烈なトラウマとなったようで
「二度とパパの学校には行かない」と言われてしまう。
素敵だ。
こういうおっちゃん、素敵だ。娘の表情も素敵だ・・・
顔の微妙な表情の変化などがリアルで気持ち悪い。
が、簡単な受付業務ぐらいはできるらしい。
ロボットが精巧であればあるほど、触りたくなるのが人の性(さが)
それが美人のロボットなら、乳を鷲掴みしてみたくなるのが男の性(さが)
しかしこの藤井彩ロボは、体に触られると顔をしかめ、体をよけ、ちゃんと抗議をするらしい。
くぅ~、じらしてくれるぜ!
こういうことを考えるおっちゃん、大好きだ。
そのうち、目からレーザービームとか付け加えるな。このおっちゃん。
さらに石黒氏、自分の奥さんのアンドロイドも作ろうとしたが、学生達からは断固拒否されたそうだ。
というか、奥さんも拒否すると思うが
こういうおバカなことを考えるおっちゃん、ボク、ますます大好きだ!
石黒氏曰く、たとえロボットだとわかっていても、外見が人間と似ていると、人間自身の見る目が変わり、接する態度も変わるという。
たしかにASIMOを「不気味だ」「近寄りがたい」という人は少ないが
人間そっくりのロボットだと、触っていいものかと気をつかってしまったり、目と目が合ったら少し逸らしたりする。
石黒氏が外見を重視する理由がこのあたりにあるらしい。
そして2006年、このおっちゃんはついに、やってはいけないことをやってしまう。
なんと自分とそっくりのアンドロイド、”ジェミノイド”を作ってしまうのである。
ロボットを作る目的が人間の代わり、だとするなら、究極は自分の代わりを作ること
そんなマンガの世界のことをやってしまうのである。
で、これがまたさらに不気味なのである。
かわいい女の子やきれいな女性のアンドロイドだけでも不気味なのに
こわもてのおっちゃんのアンドロイドである
そりゃキツいって・・・・
石黒氏自身も「コイツと2人っきりで研究室にいたくない」と言ってるらしい。
アホだ・・・
でもそれを頭で考えるだけでなく
実際にやってしまうのが、ただのアホと天才の違いである。
石黒氏は間違いなく天才だと思う。
そして変人だと思う。
天才は得てして人にバカにされ、不気味がられ、嫌われたりする
いわゆる社会不適応を起こす。
時には家族にさえ、距離をおかれたりするぐらい、バカな事を考えたりする。
でもボクはそんなおっちゃんが大好きだ。
無謀なおっちゃんが大好きだ。
笑われてるおっちゃんが大好きだ・・・
風船おじさんとか、倉木麻衣の親父とかね・・・