(とある駅の改札出口。忠治(86)と芳恵(82)は地下鉄を降り、地上へと続く階段を上っていた。)
忠治「よ、芳恵!あれ!」
芳恵「なんですか?大きな声出して」
忠治「ほら、あの、高校生を見てみなさい」
芳恵「え~どの子ですか?」
忠治「ほら、あの、だらしなくズボンを降ろしている子!」
芳恵「おじいさん。あれはファッションですよ」
忠治「そうなの?注意してあげなくていいの?」
芳恵「いいのよ。そんなことしたら怒られるわよ」
忠治「でも歩きづらそうじゃない?」
芳恵「いいんですよ。おしゃれなんですから」
忠治「でもパンツも見えてるし」
芳恵「いいんですよ。見せるパンツなんですから」
忠治「見せるパンツ?そんなものがあるのか?」
芳恵「そうよ。いいのいいの。」
忠治「でもシャツもだらしなく出てるし」
芳恵「いいの」
忠治「かかとも踏んずけちゃってるし」
芳恵「いいの」
忠治「寝ぐせもついたままだし」
芳恵「いいの」
忠治「歯ブラシくわえてるし」
芳恵「いいったらいいの!全部おしゃれだから!」

忠治「でも、ほら!あの女の子なんか、お尻も出てる!」
芳恵「最近の若い子はあまり気にしないみたいですよ」
忠治「でも、割れ目も見えてるし」
芳恵「気にしないの」
忠治「けつ毛も出てるし」
芳恵「気にしないの」
忠治「おできも出てるし」
芳恵「気にしないの」
忠治「なんだったらウンコも挟まってるし」
芳恵「おしゃれなんだから気にしないの!」

忠治「ばあさん!あれ!」
芳恵「なんですか今度は?」
忠治「ち○こ丸見え」
芳恵「もう、最近はそうなのよ」
忠治「まったく隠そうとしないぞ」
芳恵「最近はそうらしいわ」
忠治「汚物も垂れ流してる」
芳恵「最近はそうらしいわ」
忠治「俺の方を見てる」
芳恵「最近はそうらしいわ」
忠治「あら?ガラスに映った俺か?」
芳恵「最近はそうらしいわ」
忠治「俺も惚けたかな?」
芳恵「最近はそうらしいわ」
