今朝、通勤電車の中で、ものすごいいびきをかいて寝ているおっさんがいた。
それはそれはものすごい、地響きのような豚鼻だった。
僕は向かいのいすに座っていたので、まだ良かった。
隣りに座っていた方はさぞ不愉快だったろうに。
「生理現象だからしかたない」
というかもしれないが、
朝の満員電車の静寂の中で、あのいびきは異常だ。
おそらく車内の全員が不快に思ったはず。
俺の中では”有罪”・・・
通勤電車が新宿に到着すると、たくさんの人が降りていく。
すると代わりに乗ってきたのが、これまた不愉快な高校生だった。
とにかくヘッドフォンステレオの音漏れがひどい。
「お前の耳はどうなってんねん!」
というくらい、ものすごい音で音楽を聴いている。
ロックだがパンクだかわからないが
シャカシャカ音に限って音漏れは激しい。
もしかしたら機械で音量を測ったら、そんなに大きな音ではないかもしれない。
しかし静寂の電車の中の音漏れは不快だ。
それはそれはもう、拷問のごとく・・・。
時は代わって、帰りの電車内。
午後4時という時間だけあって、車内は比較的すいている。
俺の右斜め前には、やや化粧の濃い、しかもぽっちゃりした女子高生
俺の左斜め前には、これまたいけすかない高校生カップル。
男の方はズボンを腰で履き、寒いのにブレザーの下のYシャツの胸元をぱっくりあけ、おしゃれな髪型にピアスまで・・・まあ、いけすかない。
女の方は、これまた我が世の春を満喫しているかのような、自慢の彼氏に惚れ惚れしているようなうっとりとした視線を彼氏に浴びせかけていて、・・・まあ、いけすかない。
僕は目をつぶって、じっと我慢する。
すると「ピピピピピ!」という電子音が!
「(電話か・・・バイブにしとけよ・・・)」と思った瞬間!
俺の右斜め前に座っていた女子高生が電話に出たのである!!
「あ、あたし!今?電車の中!そう、あ、ねえ、昨日、あれ見た?」
周囲を気にすることなくしゃべりつづける女子高生・・・
切れ!今すぐ電話を切れ!
そう、心の中で叫ぶが、俺の心の声は全く女子高生に届かない。
じゃ、死ね!いますぐ心臓発作で死ね!
という祈りに変え、俺の寝たふりは続く。
「ね~、昨日、『メイちゃんの執事』見た~」
「見てねー」
「え~、おもしろいよ~、ヒロ君が出てるんだよ~」
今度は左斜めのカップルの会話が俺の耳を襲う・・・
「ねえ~、ゆう君さあ~、テストどうだった~?」
そんなの最悪に決まってるのに・・・
「最悪だった・・・」
ほらね・・・。
「でもゆう君、頭いいから大丈夫だよ~」
最悪ゆってるのに・・・なんで大丈夫なんだよ!その根拠はなんなんだ!
というか、お前はどうなんだよ!
「あたしなんてもっと悪かったよ~」
悪かったら反省しろ!
なんでゆう君の耳たぶいじってるわけ!?
なんでいたずらっぽく彼氏の横顔見てるわけ!?
不快だ!実に不快だ!
不快指数で言えばケータイ電話より不快だ!
おっさんのいびきより不快だ!
ヘッドフォンステレオの音漏れより不快だ!
高校生カップルのションベン臭い会話が一番不快だ!
帰れ!今すぐ帰って勉強しろ!ろくな大人になれんぞ!!!
「ゆう君、マック行こ~」
行くなよ!おいコラ待て!待て、ゆう君!
僕の心の叫びもむなしく、ゆう君とその彼女は腕を組んで電車を降り
車内にはぽっちゃり女子高生の話し声だけが響くのであった。
ま、僕もろくな大人ではないけどね・・・