俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

ナンシー関さん没後20年

AERA dot.というサイトで久しぶりに”ナンシー関”の名前を目にした。

39歳で逝ったコラムニスト・ナンシー関さん 文章はビートたけしのしゃべりが影響? (msn.com)

日本史上最高のテレビコラムニストであり、消しゴム版画家だったナンシーさん。僕は彼女に影響をされまくっていて、このブログの文章も見る人が見れば「ナンシー関のパクリ」とわかってしまうほど傾倒している。今も心の師と仰いでいるし、勝手に”ナンシー関の遺志を継ぐもの”を自称して駄文を綴っている。

ナンシー関のいた17年】見えるものしか見ない。しかし目を皿のようにして見る。そして見破る。天国で彼女は今の日本をどう見ているだろう。 |  演芸のまわり、うろちょろ。

僕がナンシーさんにハマったのは1990年代だったか。たしか漫画家で随筆家の東海林さだおさんのコラムと一緒に楽しみにしていたので『週刊文春』で知ったんだと思う。あの時のインパクトと言ったら!いやぁ~、とにかくすごかったな。

ナンシーさんは有名人を一人取り上げて版画とコラムで批評をするのだが、まず消しゴムに彫られた似顔絵の絶妙な”悪意”にシビれた。恐ろしいほどの観察眼からシンプルなラインで描かれたその似顔絵は、決して誇張しているわけではないのにその人の性格の悪さや天然さ、勘違いぶりや魅力を文字通り”浮き彫り”にしていた。そして似顔絵の横に彫られた一言は時に有吉弘行さんばりの悪意あるあだ名を、時にナンシーさんの心のツッコミを、時に描かれた人物のイメージさらに際立たせる”パンチライン”を表していた。もう消しゴム版画だけで十分金がとれる作品だった。

虹色 on Twitter: "ナンシー関さんの 「彫られた気になる人々BEST50」 の中に入ってますね😆  昔はこのお上品さが結構好きだったんですよね…。… "

 

加えてナンシーさんはコラムが滅法面白かった。ナンシーさんの文才に何度も嫉妬したな。「なんでそんな見方ができるの?なんでそんな切り口が見つかるんだ!?」と毎回驚かされた。そしてその芸能人評が悔しいくらい”しっくり”くるのだ。最近テレビでよく見るようになった有名人に対して抱く”違和感”やら”もやもや”を、ナンシーさんはちゃんと表現してくれるのだ。すごいな、僕もあんな文章書きたいなとずっと憧れてたな。

僕がブログというものに出会ったのは2006年くらいだったか。当時のブログは今のように収益を目的にお役立ち情報を書くようなものではなく、芸能人がファンに向け日々のことを徒然なく書いたり、一般の人が日記代わりに書くようなものだった。元々書き物が好きだった僕はブログこそ自分を表現できるものだ!と飛びついたのだが、まあ当時の文章もひどいもんだった。他に人がしていたようにM-1グランプリを見てお笑い批評を書いてみたり、K-1グランプリを見て観戦記を書いてみたりしたのだが、自己満足の塊で、およそ人様に読ませる文章ではなかった。芸能人のこともバッサバッサと切ってみたのだが、ただの上から目線の批判、悪口で、全くナンシー関さんのようなユーモアにはならなかった。ナンシーさんも嫌いな人に対しては容赦なく汚い形容をしていたし、時には揚げ足を取るような、あまりに主観的で勝手な妄想で対象をけなすこともあった。が、やはりその目の付け所、文章力、版画の技術とアイディアなどは圧倒的で、支持する人が多かったように思う。

টুইটারে Z旗新聞社: "ナンシー関が24年前に預言していた蓮舫の正体。「社会派バカ」と揶揄したナンシー関の彫ったコメントは、そのまま今の蓮舫にも当てはまる。社会派バカ…実にいいことばだ。  https://t.co/1jG1Zcukh5 https://t.co/PgQ5nP8FT7" / টুইটার

そして彼女の没後、多くの人が”ポスト・ナンシー関”を目指して文章を書いているのだが、やはり大先生には遠く及ばないし、おそらく今後もナンシー関さんを超える人は出て来ないのではないかと思う。

当時はSNSもなかったし、今ほど倫理的・道徳的な規制がなかった。だから好き勝手書けたのかもしれない。ナンシーさんはその容姿や作風から”マツコ・デラックス”さんと比べられることもあるが、ナンシーさん自身はテレビに出演して毒を吐くことには興味を示さなかったようだ。自分は演者ではなく、テレビを見て悪態をつく一般視聴者であり続けることが作品の質を維持すると考えていたのかもしれない。それが消しゴム版画家兼コラムニストとしての矜持だったのか、単に表舞台に出るのが嫌だったのかはわからない。でもあくまで一視聴者として対象と距離を取っていたからこそあの視点・あの感性が続いたのは間違いないだろう。

ナンシー関の凄さ | 怒り屋発進!GO!

もし今の時代にナンシーさんが生きていたら同じような作品を作り続けられただろうか。僕はそれは難しいかもしれないなと思っている。仮にある有名人をネタに作品を描いたらすぐに本人に情報が行って反論されたり、ファンが怒って炎上騒ぎになったり、人権団体やらBPOやらからクレームが来たり、ネットの住民がナンシーさんの容姿をバカにしたりして、創作のモチベーションがなくなってしまうかもしれない。

だから仮に僕が「なんで滝●カ〇ンってあんなにもてはやされてるんだろう?失礼で飯を食ってる女版ボビーオロゴンなのに」とか「渡辺〇美をブタ扱いできる日はもう来ないのか?本人は今もデブと滑稽で笑いを取りに来ているのになぜか人権枠」と思っても、もう自分で責任をもって書くしかないのだ。叩かれるの覚悟で。

でも50近くになって若い人を悪く言うのもねぇ・・・ナンシーさんも40代・50代になったら丸くなってたのかな?

ナンシー関が残した10の言葉 「有吉、生来ふてぶてしい」

哀悼・森繁久彌 - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

川島なお美の結婚披露宴を見て・・・ - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

ほしのあきの新CM、判定はアウト! - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

 

 

 

とんねるずの曲と言えば・・・

ここ数日、「みんなのランキング」「ねとらぼ」といったサイトで立て続けに”とんねるずの人気曲ランキング”を発表していた。

まあ、大体予想通りのランキングで、最大のヒット曲「ガラガラヘビがやってくる」やちょっと硬派な「一番偉い人へ」「情けねぇ」「迷惑でしょうが」などがランクインしている。

【人気投票 1~21位】とんねるずの曲ランキング!ファンおすすめの名曲は? | みんなのランキング (ranking.net)

「とんねるず」シングル曲人気ランキングNo.1が決定! 3位は「情けねえ」!(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース

懐かしいな・・・俺もよく聴いてたな、とんねるず。でも個人的に印象に残ってるのはなぜかアルバム曲。というわけで、私的”とんねるずのアルバム曲ランキング”

2020年1月22日、とんねるず配信開始!

 

僕は1973年生まれだからとんねるずとは一回り下。ただ兄貴が大ファンだったものだから、兄貴がラジカセで流すとんねるずのアルバム曲やオールナイトニッポンから流れる楽曲を嫌と言うほど聞いてきた。だから自然に覚えてしまったのだが、特に好きだったのが下の8曲

 

①律子に乾杯~スピーチの代わりに~(アルバム『市川と宮嶋』に収録)

律子に乾杯~スピーチの代わりに~ - YouTube

ウェディングソングと言えば、昭和は「てんとう虫のサンバ」「お嫁サンバ」、「乾杯」、平成は「Can you celebrate」「Butterfly」、令和は・・・何だろう?髭男?

とにかく僕はウェディングソングと言えばとんねるずさんの「律子に乾杯」。スピーチが苦手な話下手の男が歌う友人である新婦に向けた応援歌。最後の「幸せになぁれ!」という決めゼリフがいい!僕も結婚式に呼ばれたらこれ歌おうと思っていたが、悲しいかな男友達の結婚式にしか呼ばれたことがない・・・

 

②セブンスコードを天国にくれ(アルバム『がむしゃら』に収録)

セブンスコードを天国にくれ - YouTube

ちょっと格好いい大人のブルース。当時19歳の僕はセブンスコードも知らない、”ジョニー・ヤノピ”も知らなかったが、とんねるずが真面目に歌うブルースが妙にカッコよかったのを覚えている。

 

③ENDLESS NIGHTーほっといてくれー(アルバム『キャニオン初』に収録)

ENDLESS NIGHT -ほっといてくれ- - YouTube

ノリさんのソロ曲だが、イントロから作曲の久保田利伸さんの”らしさ”全開!80年代のディスコ調の曲でカッコイイ!多分に久保田さんを意識したノリさんの歌い方も最高!「ノリさん、やっぱ歌うめぇ~」と感心したものだ。ラストのアドリブやラップもシャレが効いてる!

 

④ホテルアルゼンチン(アルバム『キャニオン初』に収録)

ホテル「アルゼンチン」 - YouTube

当時13歳だった僕は最初この歌の歌詞がよくわからなかった。フロントのスピードくじ?自動で落ちる鍵?部屋に置かれた落書き帳?アルゼンチンのホテルってそんな感じなの? そんな僕の様子を察したのか、兄貴が「ラブホテルの話だよ。大人の男と女がエッチするところ」とやさしく教えてくれた。あの後はじめて「夜のおかし”うなぎパイ”」を食べたときも、やらしいことを想像して興奮したな。

 

⑤おひも(アルバム『自画自賛』に収録)

おひも - YouTube

この曲も当時13歳だった僕は理解できず。”ヒモ”って・・・あの紐?って思ってたな。でも歌詞は女の人が男の人にみそ汁作れ、パチンコ行く前に燃えないゴミ捨てとけ、近所の人たちに挨拶しとけ、といろいろ注文をつけて「あなたはおヒモ」なんて歌ってたから、男の人のことを指していたことはわかった。今改めて聴くと・・・おもろい。本当にとんねるず兄さんには学校では教えてくれないことをたくさん学んだな。

 

⑥母子家庭のバラード(アルバム『成増』に収録)

母子家庭のバラード - YouTube

最初はただのコミックソングだと思って聴いていたのだが、貴さんが本当に母子家庭だと知って聴くと”ただの”コミックソングではなく、少しジーンとして、でもやっぱり笑える。とんねるずの真骨頂のような曲。最後の最後まで、ノリさんのセリフが消えるまで楽しませてくれる曲。

 

⑦笑ってください(アルバム『自画自賛』に収録)

わらって下さい - YouTube

これも良くできてるよな。最初はレコード大賞の発表のようなアナウンスで始まり、歌は別れと旅立ちがテーマの、スケールが大きい感動的なバラード。歌詞にはちゃんと笑いを入れて、貴さんはショーケンのものまねで、ノリさんはお得意のクセのある歌い方やさだまさし調の歌い方で笑わせてくれる。感動していいのか笑っていいのか戸惑うが、まあ「笑ってください」ということなんだろうな。

Amazon Music - TUNNELS(とんねるず)のガンバダ・マックーサ - Amazon.co.jp

⑧ガンバダ★マック―サ(アルバム『ほのちゃんにはがはえた』に収録)

とんねるずのアルバム曲の中でもダントツに好きなのがこの曲(残念ながらYoutube上でもGoogle上でも見つからず)。

ノリさんのソロ曲なんだけど、僕はやっぱりノリさんの歌が好きなんだな。上手い。本当にうまい。しかも歌だけじゃない。本当に器用な人。憧れでもあるね。

がんばって覚えている限り歌詞を書いてみよう。

 

何考えちゃてんーの 何腕組んじゃってんーの

やめろってばそんなーの 踊ろってばこんーや

むずらかしい顔は好きでないもんでー Funky Monkey Crazy Dancing~

お隣の人と 仲良く手つなぎ スキップふんじゃって 舞い上がろうよ

世の中楽しいことなんて なさそで探せばあるさぁ~

腹減って死んでく奴は少ねぇ~ 

どでかい地震が来ないだけラッキーと思わなしゃーねーだろー

*先のことなんて話し合うより 明日どうやって笑えるか話し合おうよ

やるだけやってダメだったら 謝って明日からガンバダ

 

なにしかめっ面 なに仏頂面 

やめろってばそんなの 踊ろってばこんーや

世の中楽しいことなんて なさそで探せばあるさぁ~

ちゃ~んとやってりゃ神様出てきてウインク~

宝くじ当たって人生変わっちゃわないかななんて気持ちわかるけど~

*毎日が日曜日に なりゃいいがなんないからさ~

好き~なこと楽し~こと~ 見つけちゃて踊っちゃってガンバダ―

先のことなんて話し合うより 今どうやって笑えるか話し合おうよ

やるだけやってダメだったら 謝って今からガンバダ

ガンバダ☆マック―サ!

(間違ってたらごめんなさい)

当時流行っていたランバダ調の曲で、ノリさんらしい楽観的な楽しい歌詞。共感しまくり島倉千代子。ちょっとテンションが下がった時に口ずさむと元気が出る。

これ、CMで使ってくれたり、誰かがカバーしてくれたりしてもう一度脚光を浴びないかな・・・すっごくいい曲なのに・・・

木梨憲武「滝のように涙が」 ヒロミの愛妻家ぶりに感涙「伊代を治すため、旦那として…」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

 

おじさんの食欲

僕はつけ麺を大盛りにしてしまったことを後悔していた。

無料で大盛りに出来るからって、餃子やチャーハンがないからって、なんで俺は大盛りにしてしまったんだろう・・・。

残り4分の1、食べられなくはないが、絶対に気持ち悪くなる・・・。

相変わらず同じ失敗を繰り返す自分を情けなく思う48歳の冬であった。

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僕は大学まで運動部だったので、それなりに食欲は旺盛だった。

大学の下宿周りには大盛り定食を出してくれる学生御用達の店がいくつかあったが、当時はどこへ行っても何を出されてもペロリと完食していた。

30代前半までは一人分の食事では絶対に足りないから、ラーメンにはチャーハンとギョーザをつけたし、お弁当にはカップラーメンのスーパーカップとか”でか丸”をつけていた。立ち食いソバもそばと丼のセットを頼んだし、牛丼も特盛にするか大盛りセットにするかでいつも悩んでいたな。

そんな僕に異変が起きたのが30代後半。国分寺駅前の「すた丼」を完食する直前に急ににんにくと生卵が気持ち悪く感じたのだった。なんとか完食はしたものの「あ~旨かった~」ではなく「うぇ~気持ち悪ぃ~」と思いながら腹をさすって帰ったのを覚えている。

40代はもう悲惨。”てんや”の天丼(並)で気持ち悪くなり、なじみのラーメン屋のこってりチャーハンで胃もたれし、から揚げ定食のライスを半分残すまでになった。食が細くなるというのは本当に悲しい。人間的に”弱”になったような気がする。たとえアラフィフでも、40代はまだまだそういう(くだらない)プライドが残っている人が多い。だからこそ食べられないことが悔しい。

10月1日、2日『すた丼1杯100円キャンペーン』<創業45周年祭>元祖スタ丼の店  国分寺店で開催“30年前”の店構えやメニューの復活も|株式会社アントワークスのプレスリリース

たくさん食べるってのは何とも男らしい。わしわしとどんぶり飯をかっ込む姿はカッコいい。僕だって食欲には自信があったのだ。ギャル曽根に勝てないまでも大食いチャレンジグルメでも完食できるだろうなんてこっそり思っていたのだ。普段は並みの食事でも飲み会とかビュッフェとか食べなきゃいけない時にはたらふく詰め込める自信があったのだ。だから未だに外食で注文する時に「これだけで足りるかな・・・」と心配になり、結局多めに頼んで後悔する生活をもう8年くらい続けているのだ。悲しい・・・。

僕の現在の食欲は、日高屋なら”野菜たっぷりタンメン”でぴったり。餃子や半ライスをつけると”食べすぎ”。すき屋ならおろし牛丼で十分。それを大盛りセットにしてしまうと後悔。かつやなら”かつ丼(梅)”、丸亀製麺ならかけ(並)+天ぷら2個がベストなのだ。なのにうどんを大盛りにしたり、天ぷらに稲荷をつけたりして「しまった!頼みすぎた!」と後悔しているのだ。我ながら学習能力が著しく低くてびっくりする。

ちなみに僕には7歳の息子がいる。息子はかなり偏食で米・麺・肉・パン・フライドポテトなどシンプルな味つけの炭水化物ばかり食べている。なので外食時の注文にいつも迷ってしまう。嫁の頼んだものを息子に分けると嫁の食い分が減ってしまう。息子用に一人前を頼むと食べられないものが多い。どうしようかと迷うが結局3人分頼んで、僕と嫁が無理に息子の残りを食べて後悔するという結果になる。

最初から2人分を3人で分けるのが正解なのだ。それが腹八分というやつだ。だが僕は生まれてこの方、腹八分で収めたことがない。腹八分を非常に恐れて生きてきた。「足らなかったらどうしよう」といつもいつも心配しながら50年近く生きてきた。だから腹8分に収める注文ができない。

さらにタチの悪いことに、僕の世代は親や先生から「食べ物を粗末にするな。米粒一つ残すな。農家の人が一生懸命作った米だぞ!アフリカには食べたくても食べられない人が・・・」なんてことを耳にタコができるくらい聞いて育ってきた。だから食べ物を残すことにも慣れていない。しかも自分の子供にまで「一粒のお米には7人の神様がいて・・・とか、トイレにはそれはそれはきれいな神様がいて・・・」なんてことを言ってしまう。我ながら面倒くさい親だと思う。んで結局子供が食べられない分を親である僕が責任を持って食べ、「ああ、食べすぎた。気持ち悪い・・・」と言って食べたことを後悔し、出っ張ったおなかをさすりながら「ああ、ダイエットしなきゃな。格好悪いなこのおなか・・・」とさらに後悔に後悔を重ねるのだ。

こうなったらいっそジジイになって小食を受け入れられたらどんなにか楽だろう。でも悲しいかな、48歳の僕はまだ抵抗している。まだまだいけると現実に抗っている。出っ張ったおなかをさすりながら・・・。

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おじさんになって捨てたもの

新川「部長、今日は相談に乗ってもらってありがとうございました。」

部長「いやいや、お役に立てたかどうかわからないけどね」

新川「いえ、本当にチームの中で一番伸び悩んでたんで・・・本当に話を聞いてもらっただけでも気持ちがすっきりしました」

部長「ははは。まあ、話を聞くことしかできないからね」

新川「いえいえ、部長はいつも細かいところに気づいてくれるし、みんなが思ってもみない角度から提案してくれるし、さすがだなって・・・」

部長「あ~、そうでしょう~?」

新川「え、ええ」

部長「ま、そんな風に見てくれてありがとう。じゃここは僕が・・・」

新川「え!いえいえ、あの、今日は私が相談に乗ってもらったので私が・・・」

部長「そんな、部下に払わせるわけにはいかないよ」

新川「いえ、本当に今日は私が払います。私がお誘いしたので」

部長「え~・・・でもねぇ・・・」

新川「本当に、大丈夫です。ほんの気持ちなんで」

部長「そう・・・悪いね。じゃ、ゴチになります。」

新川「え?あ、はい。」

部長「あ、良かったらコーヒーでもどう?出すよ」

新川「あ、じゃあ、それで・・・」

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(新宿南口のとあるスタバにて)

新川「部長って入りたての時、営業成績どうだったんですか?」

部長「ん~・・・まあ中の上くらい?ま、ずっとそんな感じだけどなんでか部長になってた」

新川「なんか部長って、こういっちゃなんですけど・・・つねに動じないというか・・・気にしないというか・・・」

部長「あ~、なんかね、年取ってくるといろいろと面倒臭くなって、いろいろと捨てちゃうのよ」

新川「はあ、捨てる・・・。何をですか?」

部長「なんか・・・世間体とかプライドとか・・・あと遠慮と謙虚さとか?」

新川「世間体?」

部長「なんかね、周りにどう思われてもよくなっちゃうのよ。見た目もおじさんだしね。”部下には嫌われてんだろうな、俺のいないところで色々言われてんだろうな”とか」

新川「いえ、そんなことないですよ」

部長「まあ、万人に好かれるなんてことはないしね、どうしてもソリが合わない人とか生理的に受け付けない人っているじゃない?俺もいるしね」

新川「はあ」

部長「でも俺は俺なりに誠実にはやってるつもりだからさ、人に仕事押し付けて楽したり責任逃れしたりはしてないつもりだし、感情的になることもないようにしてるしね」

新川「まあ、そうですね」

部長「それでも嫌われちゃったらしょうがない。合わなかったんだよ、そいつとは。今も昔も部下は上司の悪口言うもんだしね、俺も言ってたし。だからどうでもいいやって思って。」

新川「それ、寂しくないですか」

部長「いや、慣れると別に。昼飯はデスクでYoutube見ながら食べると旨いし、元々酒強くないから部下を誘うこともないし、誘われてもねぇ・・・お小遣い少ないし」

新川「上司になるとそう・・・泰然自若というか・・・そうならないといけないんですね」

部長「いや、そんな大したもんじゃない。面倒なだけ。昔からそうだったんだよね」

新川「昔から?」

部長「なんか仕事で知り合ったくらいの人と食事すると『ここは私が!』なんて数人で言い合うじゃない?それが面倒でさ、お金払ってくれる人がいたら素直に奢ってもらうようにしてる」

新川「・・・確かに、さっきも割とすぐ引き下がりましたね」

部長「2回くらい『私が払います』って言ったらもうゴチになることに決めてるから」

新川「そうなんですね。私もびっくりしました。」

部長「他にもみんなで写真撮ろうとかいう流れになると必ず『私はただの手伝いなんで

(写真に入らなくて)結構です』なんて言い出す奴いるでしょ?」

新川「ああ、いますね」

部長「結局みんなに『〇〇さんも入りなよ、さ、早く早く』なんて言われて、渋々入るみたいな流れ・・・あれが面倒でさ」

新川「それはわかる気が・・・」

部長「結局最初に真ん中に座ってる重鎮を一番待たせることになるし、失礼になるから、写真撮るって流れになったら迷わず入るようにしてる」

新川「それはいい心掛けですね」

部長「あと実家でも盆と正月になると家族が集まるじゃない?で両親が料理を作ってると兄嫁、弟嫁、俺嫁なんかに加えて兄貴と弟まで台所に立って仕事を手伝おうとするわけよ。実家の台所狭いのに」

新川「でもそれは仕方ないんじゃ・・・」

部長「だから俺は迷わず居間でテレビを見ることにした。」

新川「なんで?」

部長「だって、俺の実家だし。嫁さんは仕事手伝ってないと体裁悪そうだから、その仕事を奪うわけには・・・」

新川「だから居間でテレビ見てるんですか?家族みんな食事の準備してるのに?一人で?」

部長「うん。なんか”みんなで台所に立つの図”とか”仕事がなくてただ立ってる図””とりあえずお箸を運ぶ仕事をもらって喜ぶの図”とか・・・面倒じゃない?」

新川「・・・ちなみに奥様のご実家では?」

部長「お義母さんに『座ってゆっくりしてくださいな』って言われるから、言われたとおりにしてる」

新川「(コーヒーをすする)」

部長「あと写真写りも気にしなくなった。なんか昔は『写真写り悪いな』と思ったけど、周りの目には普通にブサイクに映ってるんだろうなってわかってからね。カラオケもだな。別に俺にカラオケの上手さを期待してないしね。もう道化でいいやって。ピエロになろうって。おじさんは笑われてなんぼ。変に若作りしたり見栄を張ったり年齢にあがくより、バカにされたれって」

新川「そこまで悟ると逆にすごいですね」

部長「そう、すごいのよ、最近」

新川「そこを否定しないところもすごいです。ある意味」

部長「あ~、なんかね、謙遜するのも面倒になってきて」

新川「そんなふうになります?普通?」

部長「なんか『お上手ですね』って言われて『いやいや、そんなことないです』『いや、本当にお上手ですよ』『いや、本当に大したことなくて』なんてやりとり、面倒じゃない?」

新川「・・・それで謙遜するのを辞めたと」

部長「そう。褒められたらもういいやって。受け入れちゃえって」

新川「・・・今日でちょっと部長のイメージ変わりました」

部長「そう、ありがとう」

新川「褒めてないです」

部長「なんならコーヒー代もおごってくれてもいいよ」

新川「いい加減にしろ」

ちゃんちゃん。

事実を認めよう。おっさんはみんなキモい! | ろくでもないおっさんのしょうもない毎日

 

僕はやはり殿馬

ドカベン』『あぶさん』などの代表作を残した野球漫画の巨匠・水島新司先生が亡くなったそうだ。水島マンガに影響を受けた著名人が次々と哀悼のコメントを残しており、改めて水島先生の作品が日本の野球に与えた影響の大きさがわかる。

僕も野球少年だったので水島先生の作品もよく読んでいた。でも一番印象に残ってるのは水島先生本人だった。昔『ビートたけしのスポーツ大将』という番組をやっていて、たけし軍団チームと水島先生チームの野球の試合があったのだが、ピッチャーの水島先生がとにかく負けず嫌いで、子供ながらに引いてしまったのを覚えている。誰がどう見てもストライクゾーンに入っていないのに「おい!ストライクだろ!」とムキになって審判に詰め寄っていた水島先生はあきれるほど大人げなかった。

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所属チームは「BOTTS」(ボツ)

また高校野球を描いた『ドカベン』『大甲子園』では飽き足らず、続編として『ドカベンプロ野球編~』を作り、実際の日本プロ野球を舞台に自身のオリジナルキャラクターを入団させるというファンタジー作品を描いてきたが、自身の作ったキャラクターが全員揃いも揃ってプロで大活躍をしている姿を描いちゃうあたりもツッコミどころ満載だった。

が、水島先生はとにかく野球が大好きで、自分が描いた作品が好きで、自身が作ったキャラクターを”親バカ”なほど愛していたということは間違いない。

ご冥福をお祈りいたします。

ドカベン」「あぶさん」の水島新司さん死去、82歳…「スポ根」に代わる野球漫画を確立 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン

そういえば僕が子供の頃、太っていた友達は草野球でも少年野球でも必然的にキャッチャーをやらされていた。水島先生のせいだった。

定食屋で飯を食った後、爪楊枝をくわえたまま歩けば「お前、岩城かよ!」と突っ込まれた。アンダースローのやつは「里中みたい!貧乏なの?」、いつもニコニコしている奴は「微笑君」などなど、当時の子どもは勝手にあだ名をつけられていた。全部水島先生のせいだった。

同じように背の低いやつは自然と”殿馬”とか”とんま”と呼ばれていたが、これはちょっと羨ましいほうのあだ名であった。キャイ~ンの天野君も言っていたが、当時背の低かった少年はみな”殿馬一人”に憧れていたのだ。

 

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殿馬一人 - Wikipedia

殿馬は見た目は出っ歯にでかっ鼻、短足で服装もだらしなく、語尾に「~ずら」をつけるなど田舎臭く見えるかもしれない。しかし実は天才ピアニストであり、天性のリズム感で野球でもその才能を開花させ、プロでも首位打者盗塁王2000本安打という記録を残している。

が、彼の魅力はやはり「努力しているところを見せない、ひけらかさない」「闘志を表に出ず、常に飄々としている」ところだと思う。

ピアニストとしては手が小さく課題曲が弾けなかったことをバカにされた殿馬は指と指の間(水かきの部分)を切り開く手術をこっそりと受け課題を克服したり、ハイジャック犯に右肩を打たれた際は夜に一人でグラブトスの特訓をして試合に臨むなど、本当は負けず嫌いで心に熱いものを持っている。しかしそれを周りに知らせることはないし、頼ることもない。自分の課題は自分で解決するだけ。きっとそれは殿馬の哲学だ。

対戦相手からするとこの存在は不気味だ。ホームランバッターの山田太郎や、怪力・岩城正美、エース里中君は特徴がわかりやすいから当然対策を立てられてしまう。しかしこの投打の要にばかり気を取られていると、のらりくらりとした殿馬にやられてしまう。曲者なのだ。何を考えているのかわからないし、やる気があるんだかどうかもわからない。しかし常に周りを注意深く観察しながら瞬時に100%の力を出せる準備をしている。だから相手は気づいた時には一杯食わされている。

チームメイトは殿馬を”末恐ろしい天才”と捉え、ピアニストとしての活動も尊重している。殿馬のことを変に詮索せず、放任している。対戦相手にも”不気味な存在””天才”と捉えられているのがカッコイイ!

僕はこういうキャラクターが大好きなのだ。闘志を表に出さない天才、何を考えているのかわからない能天気な天才、普段は前に出ようとはせずに主人公がピンチの時だけ助けてくれる天才。

あ~あ、また『ドカベン 殿馬一人特集』を読みたくなったずら。

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錦鯉というコンビ

昨年のM-1グランプリ優勝以来、テレビで観ない日はないというくらい仕事が増えたお笑いコンビ・錦鯉の二人(長谷川雅紀、渡辺隆)。最近『情熱大陸』や『水曜日のダウンタウン』(共にTBS系)などでステージ以外の素に近い二人の様子を観る機会があったのだが、改めて「いいコンビだなぁ」と思っている。

よこはまたろー@リトルラジオ on Twitter: "錦鯉 渡辺さん まさのりさん「25歳歳下の彼女と結婚」をきかされて  立ち止まったけど「ダセーな! 記者会見なんかやらない! 人気者でもなんでもないからな!」 ボロクソw #水曜日のダウンタウン #錦鯉  https://t.co/VlXz8UgBvD ...

二人は元々別々のコンビを組んでおり昔からの知り合い・友達というわけではなかった。コンビ解散後、お互いピン芸人をしていた際に、渡辺さんから長谷川さんに声をかけたそうだ。当時渡辺さんは33歳、長谷川さん40歳。Wikipediaによると渡辺さんは「組んでみて、本当にこの人、バカなんだな」と思い、歯を磨かない、爪を切らない、服を替えないなど私生活のだらしない長谷川さんを毎日のようにたしなめていたらしい。

ただWikiを観るまでもなく、渡辺さんの態度からは長谷川さんを半分本気で見下している様子が見て取れる。芸歴、年齢共に上の長谷川さんに対し、渡辺さんの態度はかなりキツイ。呼び方こそ”雅紀さん”とさん付けであるが、常に「こんなダメな大人初めて見た」という目で見ているし、言葉もため口、ツッコミも遠慮がない。だからこそ『水曜日のダウンタウン』のどっきりで”糟糠の彼女を捨てて25歳年下の女性と結婚する”と伝えた長谷川さんに対し「ダセーな。一番ダセーやつじゃん。25歳年下とか」と本気で軽蔑している。

おそらく人間としては最低、ただ芸人としてはそのダメさ加減も含めて優秀と捉えてコンビを続けているように見える。

錦鯉 - Twitter Search / Twitter

長谷川さんは長谷川さんで自分がダメな人間であることがある程度わかっている。だから年下の渡辺さんに厳しく言われても反発するどころか反省し、渡辺さんを「東京のお母さん」とまで呼んでしまう。自分をここまで引き上げてくれた相方に感謝しているのだろう。

それにしても『情熱大陸』で10年前の錦鯉のネタを放送していたが、長谷川さんのボケは今とほとんど変わらないのにそれほど響かないのが面白い。30代、40代でバカなことをしている芸人は他にもたくさんいる。M-1で披露した”合コン”のネタも、これまでたくさんの芸人が題材にしてきたし、ブサイクやうざいキャラが登場するネタも出尽くした感さえある。ややもすると40歳当時の長谷川さんは「この歳にもなってまだこんな幼稚なネタをやっているのか」「いい加減、芸人を辞めたほうがいいんじゃないか」と思われていたかもしれない。しかし50歳の長谷川さんならさすがに笑える。50代の長谷川さんがあれだけバカをやってくれたら、そりゃ面白い。唯一無二のボケだ。長谷川さんはやっと熟した感じ。

”合コン”のネタも錦鯉だからこそ

(長谷川)「みんなよりちょっとだけお兄さんかな?」

(渡辺)「お父さんだよ」

なんてやりとりが通用する。

 

ちなみに『水曜日のダウンタウン』のどっきりは、M-1で優勝する前、2021年の10月頃に撮影されていたらしい。それでも前年のM-1決勝進出もあってテレビの出演本数が前年から111本増えたというから相当売れていたはずだ。にも拘わらず、渡辺さんは「まだスタート地点に立ったばかり」「今年こそ優勝せねば」という思いがあったのだろう。浮かれて貧乏時代から付き合ってくれた彼女を捨て、25歳の彼女を作ったと言ってきた長谷川さんに相当イラつき、軽蔑していたように見える。

長谷川「記者会見とかそっちの話もあるから(お前に言っておこうと思って)」

渡辺「大丈夫だよ。ねぇよ、バーカ。50歳過ぎのバカなおっさんが結婚するって言って記者会見なんかするわけがない」「すごいじゃん。慢心がすごいじゃん。なってねーからな、テレビの人気者に!」

どっきりなので二人の素の会話なのだろうが、完全に漫才になっているのがすごい。長谷川さんのことを常に「突き抜けたバカ」と見下し、プライベートでもツッコミ続けた結果、長谷川さんのすることなすことに、スムーズにツッコめるようになっているのがすごい。それに対し反論することもできず、素直にツッコミを受ける長谷川さんの間も素晴らしい。

錦鯉とは、素で突き抜けたバカの長谷川さんと、それを素で見下す保護監察官・渡辺さんが織りなす厳しくも温かい人生劇場。

2022年、錦鯉は本物の売れっ子になるのか、それは終わってみないとわからない。でも家族からも周りからもバカにされ続け、気づけば就職もできず芸人しか残っていなかった男が50歳で漫才日本一になるなんて、もはやドラマだ。その男を”絶対に面白い”と信じ続けた男もまた見事。M-1決勝の大オチで決めた”Life is beatiful”。いいな、映画になるな。

情熱大陸で『錦鯉』が話題に! - トレンドアットTV

竜兵会VS出川軍芸能界オールスター草野球対決2022

1月3日に放送された『竜兵会VS出川軍芸能人オールスター草野球対決2022』(テレビ東京系)を観ていて、同世代の僕は思った。

「ああ、いいなあ。俺も草野球やりたいな」

今年40代最後の年を迎える僕は、年々体力が衰え、体の節々が痛くなり、老いへの恐怖と戦っている。日に日に頑固になって若い人たちの間で”バズ”っているものを受け入れることができなくなり、テレビやネットを見ても面白いと思えるものが少なくなって時間をつぶすことも苦しくなってきた。

そんな中で観た『~草野球対決』はなんとも穏やかで、幸せに満ちたシーンの連続だった。

竜兵会 VS 出川軍オールスター草野球対決2022』 出川と上島がガチ対戦-sirabee20211217kusayakyutaiketsu2

僕が子供の頃、サッカーチームに入る子はまだ珍しく、まだまだ野球のほうがメジャーだった。僕の小学校には少年野球チームが3チームあり、クラスの半分はいずれかのチームに入っていた。チームの練習以外でも学校が終われば近くのグランドでみんなで草野球をしたし、家に帰ればプロ野球カードや野球盤で遊んでいた。夜は普通に家族とテレビで野球中継なんぞを観ていた。別に甲子園とかプロを目指していたわけではないし、どこか特定のプロ野球チーム・選手のファンだったわけでもなかったが、活発な少年が野球をやるのは自然な流れだった。

僕は高校の途中で野球を辞めてしまって、それ以来グローブをつけたこともバットを振ったこともないんだけど、中途半端な形で辞めてしまっただけに野球への想いはだらだらと残っていた。Youtubeイチロー選手のプレイダイジェストは観たり、大谷翔平選手のニュースはチェックするのに、野球の試合をちゃんと最初から最後まで観ることはまずない。

日曜日にちょっと河原なんぞを歩いていると、腹の出たおっさんが泥だらけのユニフォームで座り込んでビールを飲んでいる姿を見たりする。「今日3三振よ!もう打率1割切ってんじゃね?」と仲間に嘆く割に顔がなぜか幸せそうで、”野球の試合が楽しくて仕方がない””野球がやれる週末が嬉しくて仕方がない”という感じなのだ。うらやましい・・・・。

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僕は仕事柄、住む場所を転々としてきたので地元の草野球チームに所属するということができなかった。仕事以外のこういうつながりを全く作ってこなかった。いいな、いいなぁ。

 

そんな時に観た『竜兵会VS出川軍芸能人オールスター草野球対決2022』が実によかった。これぞまさに”草野球”なのだ。

チーム上島は主に太田プロ所属の芸人チームで、メンバーは上島竜兵肥後克広、寺門ジモン(以上ダチョウ倶楽部)、劇団ひとり土田晃之インスタントジョンソン、スギちゃん、神奈月松村邦洋などなど。

対するチーム出川はキャプテンの出川哲朗とゆかりのある飯尾和樹、やす(以上ずん)、ウド鈴木キャイーン)、岩井ジョニ男イワイガワ)、堀内健ネプチューン)、中岡創一(ロッチ)、蛍原徹、そして粗品せいや霜降り明星)ほか。

両チームの平均年齢50歳だと聞いて、うれしくなってしまう。

ここにダウンタウンロンブー淳有吉弘行など大物MCが入ってしまえば単なるバラエティ番組になってしまうし、とんねるずが入ってしまえば元プロ野球選手を代打などで出してしまうだろう。しかしこの番組のコンセプトはあくまで”草野球”なのだ。これが見ていて実に気持ちいい。

ピッチャー出川は本当のマウンドからは届かないので手前から山なりのボールを投げる。野球経験者はおもしろいように打てるし、未経験者はバットにボールが当たらない。そしてそのどちらも自然に混ざっているのがいい。出川さんも終始ニコニコだ。

守備もトンネル、落球の連続があったかと思えば、きれいにゴロを捌くシーンもあって、意外に試合が引き締まっている。大量得点でだらけてしまうでもなく、逆転につぐ逆転の白熱した展開。

僕はまるで日曜日の散歩途中に土手に座りながら観戦をしている気分。思わず「おっ!ナイスバッティン!」とつぶやいてる自分がいた。

もちろん乱闘などのお約束はあるし、ヤジ合戦などもあるのだが、バラエティ番組のような”俺が俺が”とみんなで笑いを取りにいく展開はなく、みな試合を優先させている。あの堀内健もおふざけなし。霜降り明星も出しゃばったのは最初だけ。あとは本当に草野球の助っ人に呼ばれたことを自覚し真剣にプレーしている。

おじさん達の草野球と言うことで試合は5回まで。この長さがいい。結局は泣きの延長1回があったが、草野球を最初から最後まで観てしまった。でも実に面白かった。きっとみんなあの後、飲みに行くんだろうな。打ち上げのビールはうまいだろうな。

ああ、俺も野球やりたいな。ソフトボールでもいい。だれか誘ってくれないかな?きっと誘われたら張り切りすぎて足が吊ったりアキレス腱切ったりするんだろうな~。定年退職するまでにはそんなグループに入っていたいもんだ・・・

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