俺よ、男前たれ

おもしろきこともなき世をおもしろく

『One Piece Film RED』&『シン・ウルトラマン』

せっかく有休を取ったのに、妻に「お客さんが来るから家を空けろ」と言われ、僕は途方に暮れていた。

で、超久しぶりに映画でも観てやろうと『One Piece Film RED』と『シン・ウルトラマン』をはしごして観てみたのだが・・・

そもそも僕は『ワンピース』は超ライトなファン。

『One Piece』を追いかける - 俺よ、男前たれ (hatenablog.com)

また映画も普段はほとんど観ない。本当に半日家を空けなければならなくなったので仕方なく映画で時間をつぶすことにしたのだ。最初は3時間くらいの洋画のチケットでも買ってずっと寝てようかとも思ったのだが、ネットで賛否両論巻き起こってるこの2つの映画を観てみるのも土産話になるかと思い、観てみることにしたのだ。

 平日昼間の映画館は驚くほど空いていて席は選び放題。僕は映画館のど真ん中の席にふんぞり返って話題の『One Piece Film RED』を観てみた。するとネット上で繰り広げられている賛否両論そのままの展開が目の前で起きていた。例えばこんな感じ。

・これは『ワンピース』じゃなくてミュージカル映画。歌ばっかりでうんざり。

・歌い手のAdoのゴリ推し。Adoファンには面白く感じるだろうが…。

・主役のウタが好きになれればおもしろい。

・原作好きにとっては期待外れ。シャンクスやルフィーのシーンが少ない。

・全く新しい映画!一気に惹きこまれた。

などなど。ちなみにアラフィフの僕にとってはこの映画はきつすぎる。

全体的に色遣いがカラフルで目がチカチカするし、戦闘シーンも早すぎて目がぐるぐる回る。音響設備のせいかガラガラの映画館のせいかAdoさんの歌がうるさすぎてあまりに不快(耳をふさいでちょうどいい音量)。戦闘シーンはルフィがオラオラ殴って、サンジが蹴って、ゾロが斬るいつものパターン(そういえば”ワンピースの名場面”って戦闘シーン以外が多いのはやはり戦闘シーンが単調だからか?)。あれだけ派手派手に作ったのにストーリーもキャラクターも戦闘シーンも大味な感じで感動もなければ印象的なシーンもない、Adoさんの歌も特に耳に残らなかったのは僕がおじさんになって感性が鈍ったからだ。この『One Piece Film RED』は映画『ワンピース』史上最高の興行成績を収めているという。じゃ、若い子向けだったということで・・・とにかくおじさんには鼓膜に良くない映画だった

ケンドーコバヤシAir OPPAI

その後『シンウルトラマン』を鑑賞。こちらもネットで様々な評価がされている。ちなみに僕には小学生の子どもがいるのだが、この子が筋金入りのウルトラマンファン。家には大量のソフビ、変身道具、シールやカードがあり、今年の夏もウルトラマンショーを観に行ってウルトラマンゼロと一緒に写真を撮ってきていた。僕もたまに土曜日に『ウルトラマン・デッカ』を一緒に見させられるし、車のカーステレオからは米津玄師の「M八七」がヘビーローテーションで流れている。僕は特段米津玄師に興味はなかったが、この「M八七」は本当によくできているなと感心している。ウルトラマンの主題歌を依頼され、その世界観を見事に表している上にこんなカッコいい曲を作れるなんてすごいなと、素直に思う。

米津玄師 「M八七」 ×「シン・ウルトラマン」Kenshi Yonezu- M87 × Shin-Ultraman - YouTube

で、肝心の映画なのだが、これが『One Piece Film RED』の後に観ると実に良かった。アラフィフのおじさんに実に優しい映画だった。まずチープさがいい。日本映画はこうでなきゃ。

そういえば映画が始まる前にハリウッド映画の予告編があったのだが、その壮大さは毎度圧倒される。ハリウッド映画の良さはなんといってもスケールのでかさ!圧倒的な”外国・異国観”! ビタ一文共感できない感じ! 日本人の生活とはかけはなれた全くの異次元で起きたおとぎ話!地球が滅亡しようが宇宙人が攻めてこようが全く恐怖を感じない非現実感!これぞハリウッド映画だ。

一方日本映画の素晴らしさはその世界の狭さ!ニッチな世界観!そしてノスタルジックなチープ感!ドウェインジョンソン主演映画のド迫力の予告編のあとの細身のシンウルトラマンのちょっとダサい動きとポーズ!いいね!怪獣のヌイグルミ感!ミニチュアのビルや電線!これだよこれ!

映画を観ていた子供やマニアのおっきいお友達は大興奮!怪獣が出てくれば「あ!メロンガ!」と叫び、「カラータイマーがない!あ!体の色が変わった!」と声に出して説明、意外な黒幕に「え!ゾフィーが!」とショックを受けるなどわかりやすく反応。奥様方は「斎藤工が老けた」「なんだジャニーズの棒演技は」とため息をつき、お父様方は長澤まさみの絶妙な色気とミニスカートの中が見えるかどうかの攻防に手に汗握る。

戦闘シーンのウルトラマンのわかりやすい動き。単発のパンチ!キック!チョップ!これよ、これでなきゃ!

フォルムがエヴァっぽいのもご愛嬌

もし最初から『シンウルトラマン』を楽しみに映画館に行っていたらここまで楽しめなかったかもしれない。期待度が低く、『One Piece Film RED』の疲労度が高かったからこそ、『シンウルトラマン』を楽しめたのかもしれない。

家を追い出されて観た久々の映画鑑賞だったが、なんとも充実した余暇になった。

 

ただいつも思うのだが、なんで”映画の主題歌”ってエンドロールでしか流さないのだろう。こちとら映画のワンシーンと主題歌が入った予告編を見てめちゃくちゃ楽しみに来ているのに、結局主題歌が流れるのは映画が終わってから。僕はエンドロールの途中で帰ってしまう派なので、好きだった主題歌も最後まで聞かずに出てしまう。頼むから映画の一番盛り上がるシーンで主題歌流してくれんかね・・・。